今回は内田樹、藤山浩 宇根豊 平川克美の共著、”「農業を株式会社化する」という無理”について紹介します。
※敬称略
内田樹、藤山浩、宇根豊、平川克己による農業短編コラム集
著者は内田樹、藤山浩、宇根豊、平川克己の4名。そして巻末に内田樹と養老猛の対談です。
各人ひとテーマ掲げる短編コラム集のような構成をとっています。
内田樹「農業を株式会社化する」という無理
藤山浩「年に1%ずつで田園回帰はできる」
宇根豊「農本資本主義が再発見されたわけ」
平川克己「贈与のモラルは再び根付くか」
巻末内田樹と養老猛の対談。
農業の生産性とは?資本主義における農業の価値とは?
著者4名はおなじ方向性です。
それは「農業はネガティブな文脈で語られることが多いけど、どうなの?」です。
はじめにでは巻末と同じく内田樹と養老猛の対談。
農業における生産性って何?そもそも「農業は生産性低い」ってひと言で語るのは乱暴すぎない?と問いかけます。
たしかに、生産性という言葉は基本的には高いか低いかの2択で、資本主義の文脈だと生産性の低い産業は淘汰が止むをえません。
ただ、この話はあくまでも”資本主義下での”という前提が付きます。
単に売上、利益の大きいところが評価される資本主義。
ふと農業って、、、つまり何だっけ?農業の存在理由や役割って?と問うてみると、農業の多面性が見えてきます。
産業でもあるし、必要不可欠な食を支える活動でもあるし、自然保護でもある。
それを資本主義というフィールドに無理やり押し込んでいないか?という問いかけと農業の真の役割の見直しが展開されます。
食文化の多様性とはリスクヘッジである
特に心に残ったのが、食文化の多様性とはリスクヘッジである。という考え方です。
コメしか食べないとコメが病気で不作だったら大変なことになるので小麦やいもも食べるこの文化はとてもリスクヘッジになるんだということ。
「多様な食文化で幸せ。」と日ごろから思っていたものの、リスクヘッジという点は新鮮でした。
農業の成り立ち|日本とアメリカ
そうはいっても海外は儲かっているじゃないか、という反論ももちろんあります。
それについては農業の成り立ち、国の成り立ちという歴史の点から反論を展開します。
そもそも民に租税させるために区画を割り当て、地主という概念を形成した日本と、海を渡り国を拓いて土地に自らの旗を立てたアメリカ。
単純に人口当たりの面積比だけではなく、農業が生まれる過程が大きく違う歴史がありました。
▼おすすめ農業本はこちらです