農業で儲けたいならこうしなさい!書評
 園主 園主

Twitterで大人気、有坪民雄さんの本の紹介です。儲かる農業解説本ジャンルでは1番わかりやすい本です。

この本の内容

「儲かる」って具体的にどういうこと?
儲かる農業・儲からない農業 それぞれの共通点は?

元コンサルの農家、有坪民雄さん

作者の有坪民雄さんはコンサルの最王手、船井総研出身です。
船井総研を退職後は専業農家として1.5ヘクタールを管理しています。

元コンサルタントならではのデータと数字に基づいた裏付けは非常に説得力があると感じました。
数字上での計算をしっかり組み立てたとしても、実際は数字通りに動かない。
ただ、計画との差異を埋めることでより良い方向へ進めるため、やはり計画段階での数字の見つめ方に力を入れるべきですね。

「儲かる農業といったらハーブだよね」

ハーブ

ちょっと箸休め。本書とは直接関係はありませんが、本書の理解が深まる予備知識を一つ。

儲かる農業から連想されるイメージとして、ハーブ農家があります。
TVなどのメディアで「ハーブで年収1000万以上!」みたいな方はよく見られます。

なぜハーブが取り上げられるのでしょうか。
これは従来、農家に欠けがちなマーケティングの視点を持っているためだと考えられています。

マーケティングの視点、つまりは販売戦略や売れる仕組み作りのこと。

多くの農家は栽培技術の研鑽に身を粉にしています。
おいしい野菜を作ること、野菜を安定供給することに勤しんでいます。
JAという、巨大流通網を持つ組織が長きにわたり農業界を牽引してきたため、それは必然の結果なのかもしれません。

そんな中、(相対的ではあるが)栽培技術そこそこに販売戦略に長けた農家が登場します。
彼らは一般家庭や飲食店などの消費者の心をくぎ付けにすることに成功します。
ストーリーを持った販売や、お皿をイメージした栽培という言葉が生まれた裏にはこのような背景がありました。

平成の時代を駆け抜けた儲かる農家の前提を、一度頭の片隅に置いておいてください。

高収益農家に必須の考え方

農業体験記や新規就農成功ノウハウ本は、成功した人のインタビューを集めて新規就農支援機関の連絡先を付けたような内容ばかりです。
これらの本は読み物としては楽しいですが、農業で成功しようと思う読者のためになるかは疑問が残ります。
この本は本当に農業で儲けるために必要な情報を厳選した本です。

まず儲からない理由、高収益農家の共通点を理解します。
そして農業で儲かるためには大規模化と新事業が必要であり、そのために必要な要素を分解。
大規模化、つまりは面積をおきくすることで大型機械を導入し生産効率を上げる。
そして新事業。
例えば葉物野菜をパックに入れて売るのと、葉物野菜をお浸しなどに加工して売るのでは商品の単価が雲泥の差があります。

生産コストを下げ、販売価格を上げる。
この両輪を回すことで高収益を実現します。

儲かる農家の因数分解

さらに高収益化実現の具体策が続きます。

ビジネスに必要な要素としてよく、セールス(営業)、マーケティング(集客)、マネジメントの3つが挙げられます。この3点を農業に置き換え、具体的にはどうすればいいの?という点を本書では解説しています。

特に販売戦略について具体的に解説してあるため、直売所に出荷している小規模農家の方でも参考になる点が盛りだくさんです。

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