土壌分析ってよく聞くけど、実際やったほうがいいの???
こんな疑問にお答えします。
この記事では土壌分析のやるべき理由やメリット、注意点について解説していきます。
農家になるには? 準備編~良い土とは?~ 土作りとはなにか、解説します。 良い土の定義、良い土を構成する3つの重要な要素について説明します。 「ウチは土作りにこだわっています」そのために何をしているのか。徹底深堀。
土壌分析とは
農業を行う上で土作りは欠かせません。
良い土とは一般的に、畑の生物性・物理性・化学性のバランスが整っている状態のことをいいます。
土作りと聞くとベテランの農家さんが長年の経験と勘で肥料などの資材を投入しているイメージがあるかと思います。
確かに、長年の経験に基づいた施肥設計は説得力があるようにも感じますが初心者の方や家庭菜園に応用ができず、再現性がありません。
再現性、論理性のある土作りをすることでおいしい野菜を安定的に作ることができます。
土壌分析はあなたの畑の状況を数値化し、再現性を持たせるために必要不可欠なツールです。
分析結果に表れる指標はなじみのないキーワードが羅列されますが、ポイントをしっかり押さえれば土壌分析は誰でも使える頼もしい羅針盤となります。
土壌分析のメリット
土壌分析を行うことであなたの畑の現状を数値化し、対策が見えてくるので使わない手はないです。
土壌分析のメリットは大きく4つあります。
・コストの削減
・方向性がわかる
・再現性
・自分の軸ができる
土壌分析は土作りの羅針盤・通知表とも例えられ、分析結果により何が足りていて何が足りていないかという現状が可視化されます。
必要な肥料などの資材を必要な分だけ与えることにより無駄なコストの削減や健康な畑の状態ができます。
必要のない肥料の投入はお金も手間も無駄になってしまいますよね。
土壌分析のメリット①コストの削減
「必要以上に肥料を入れていませんか?」
この質問にドキッとした方、要注意です。
良い野菜を作ろうとするといろいろな肥料を入れたくなる気持ちはわかります。
しかし、一度土に入れた肥料成分は簡単には取り出せません。
反対に作物を育てているうえで肥料が足りないとわかれば、あとから追加はできます。
土壌分析には野菜のために、畑のためにと思ってついつい肥料を入れすぎてしまう、そんなことを防いでくれる役割があります。
この畑にはこれくらいの肥料を投入しようという計画のことを施肥設計といいます。
分析結果に基づき、あとこれだけの量は必要、これ以上は過剰ということがわかるので無駄のない施肥設計ができます。
土壌分析のメリット②畑の特徴・クセがわかる
農作業をしていると、畑の右側と左側では生育に差が出ることがあります。
また、複数畑を管理しているとA圃場とB圃場では畑の特徴が全然違うなんて言うこともあります。
土壌分析をすることで畑の特徴やクセを数値化することができるので、トライアンドエラーの回数を減らすことができます。
野菜作りは1年に1回しか経験できない貴重な作業が山ほどあります。
その年1回の作業を無駄にしないためにも土壌分析は欠かせません。
土壌分析のメリット③再現性
土壌分析を行う会社・機関ではさまざま畑のデータが蓄積されていっています。
過去に自分の畑と似た状況の方は、どのように対処したのか参考になります。
土壌分析に基づいた施肥設計をすることで、何となく堆肥を入れて何となく肥料を入れてなんとなく失敗した。なんてことがなくなります。
ただでさえ気候という不確実要素がある栽培。
そんな栽培に根拠に乏しい”勘”に頼らないようにすることが野菜栽培・農業経営の安定化につながります。
土壌分析のメリット④自分の軸ができる
現代農業や野菜だよりなどの雑誌やインターネット、周りの畑仲間からの成功談など、情報にあふれています。
これらの情報の特徴として、失敗した話よりも成功した話が多いです。
「○○っていう資材を使ったら野菜がおいしくなったぞ」
「△△をつかったら収量が増えた」
などというように。
人の成功をうらやむ気持ちはとても分かります。
しかし冷静になると、本当にその資材のおかげのみで成功したのか?と思うはずです。
土壌分析で土の中で何が起こっているかに気を付けて観測していると、本当の成功要因が見えてきます。
前作○○で、△△を施肥して、晴れと雨のバランスがちょうどよくて多収につながった。と。
ついつい人の成功談にそのまま乗らないように考えるクセがつきます。
土壌分析の費用
土壌分析の費用は1,000円弱~10,000円とさまざまです。
JA経由で診断をお願いすれば地域にもよりますが安いところで800円~で検査できます。
10,000円ほどの高額な診断は、土壌分析結果とコンサルがついてくるサービスもあります。
初めて分析される方は安いものから実験的にやってみて、畑を改善しながら徐々に高額なサービスを使ってみることをおすすめします。
安いところでも、分析結果について親身に相談に乗ってくれるところもたくさんあるので、いろいろな分析会社を試してみるのも良いですね。
自分でやってみたい方はキットもおすすめです。
手軽に分析できるし、やればやるほど分析が上手になります。
土壌分析の注意点
農家を経営している方、家庭菜園の方、小規模で畑を借りているかたと、農に携わっている方はたくさんいます。
その中でも、土壌分析をして土の中で何が起こっているのか、どんな状態なのか、どう改善していくことが望ましいのかということまで突き詰め土壌分析を行う方は半分にも満たないです。
この記事を読んでいるあなたはおそらく、土壌分析を検討しているということでかなり勉強家で好奇心にあふれている方だと思います。
そこで、土壌分析の注意点やよくある勘違いについて書いていきます。
土壌分析の注意点①分析することで満足してしまう
大半の人はやっていないけど、必ずやった方が良い土壌分析。
分析結果を見て改善策が見えてくると、ニヤニヤしてしまいます。
土壌分析をすることそのものが目的にならないように注意しましょう。
あくまでも、良い土作り、良い野菜作りのための分析です。
土壌分析の注意点②1度しかやらない
1回土壌分析をして、何が必要で何が不足しているかを知り、対策をして終了ではありません。
野菜を作るごとに、少なくとも1年に1回のペースで土壌分析を行いましょう。
1年前と現在とどう変化したのか、野菜ごとにどのような肥料を消費するのか定点観測を行うことでスキルが確実に向上します。
土壌分析の注意点③分析結果が絶対的なものだと思ってしまう
ここまでは、土壌分析最強!みんな是非するべき!とひたすら言ってはきましたが、土壌分析は絶対的なものではありません。
土を採掘する場所や深さなど、どうしても誤差が出ることがあります。
採掘した土の範囲以上に根っこを伸ばすこともあります。
また、分析結果も依頼先によって若干違うこともあるかもしれません。
分析結果は分析結果。絶望的な土壌の状況だとしても天候が良ければ野菜は育ちます。
土壌分析を盲目的に過信しないようにしましょう。
まとめ
今回1番伝えたいメッセージとしては
ぜひ土壌分析しましょう
この一言に尽きます。
また、分析結果のチェックポイントについてはこちらを参照にどうぞ。