農業維新の書評

 園主 園主

今回はトップリバー嶋崎さんの著書「農業維新」を読んでみました。


嶋崎秀樹著「農業維新」

作者の嶋崎さんは農業従事者ならだれでも知っているであろう、農業生産法人トップリバーの創業者です。

トップリバーは長野でレタスに代表される高原野菜を栽培し、年商12億円を達成している日本有数の農業生産法人です。

そんな嶋崎さん。「儲かる農業」でトップリバーの成り立ち、考え方を紹介し、本書はその続編。

「儲からない農業の共通点ってこういうことだよね。」という点をズバズバ述べていく、儲かっている会社かつ、新規参入から比較的若め(といっても著本書は設立13年目時点で執筆)の会社ならではですね。

農業に携わる人が考えるべき問題|農と農業の違い

農と農業の違いについて考えたことはありますか?

端的にいうと、再生産可能な利益が残るシステムが構築されているものが農業で、採算ベースで合わない活動は農だと。

仕事としてやってるの?趣味としてやってるの?その境目は?という話です。

農業研修先で「家庭菜園やってるんじゃねーぞ」といわれるところは多いでしょう。

ただ「珍しいから」「おいしいから」という理由だけで栽培するのではなく、必ず利益につながる根拠をもって行動せよ!と。

なんとも耳の痛い話ですがまったくもって正論です。

日本には農業ではなく農を行っている生産者が多く、農業者にこそ国からの支援金(補助金など)が行き届くようにすべき。

農「業」者が増えないと未来がないよ。という提言から本書は始まります。

儲かっている農業・農家の共通点

こうすれば農業で儲かるよ。という話に移ります。

儲かっている農業の共通点が大規模&加工事業。

一般企業のような社員研修を農業法人でも行う必要があるし、そもそもビジネスの常識を農業界にどんどん取り組むべき。

ここまでくるTwitterでよく見る意識高い系のビジネスアカウントが、衰退産業にマウンティングをとっているのとそう変わらない内容になってきます。

農家の定義によっては、効率とかけ離れた活動をしている方は確かに多いと思います。

まぁごもっともなんですけど、一件一件現場を見ている方ならそんな発言しないし、イメージで話しているということがまるわかり(笑)とTwitter出は楽しんでいますが…

ヒントは農家という人の定義と資本主義の枠組みにいるのかどうかというところです。

本書のハイライトは儲からない農家事例というのが列挙してあるところです。

農家として困りたくない、儲かりたいと思う方なら、単にこの行動をしなければいいだけなのでここはとても有益です。

年商12億|儲かっている農業法人の代表格

トップリバーは紛れもなく儲かっている農業生産法人ですし、今後も農業界を引っ張っていく存在に間違いないでしょう。

本気で農業で一旗あげたいと思っている方におすすめなのが、実録トップリバーです。

本書の終盤にトップリバーの卒業生の話やトップリバーの人材育成、会社の考え方などがわかるようになっています。

トップリバーでもトップリバー以外でも、農業研修に少しでも興味がある方は必読かと思いました。

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