アーティチョークの育て方 プランターで育てる場合のポイント

アーティチョークの育て方 プランターで育てる場合のポイント

前回の記事ではアーティチョークの基本情報について紹介しました。今回は育て方についてです。アーティチョークを育てるのに欠かせないポイントとしては栽培期間が長期間に及ぶ、ということです。長期間育てるための肥料の管理、毎年の夏場・冬場の管理、収穫の仕方を考えながら作業することが重要です。追肥一つにしても夏越えにしても一度植えたら引っ越しできないため、神経を削るかもしれませんが、アーティチョークを栽培できれば大抵の野菜を育てることができるはずなので頑張って挑戦してみましょう。畑に直接植えるのはちょっと…という方に向けて、プランターでの育て方も紹介します。

参考:【ルバーブの育て方】 種まきや株分けの方法、栽培の気を付けるポイント

アーティチョークの育て方

アーティチョークは栽培期間が5年以上ととても長いため、長期的な視点を持った育て方をするということが栽培するうえでのポイントです。アーティチョークは多年草のため、一度植えたら何年もその場所に居続け、さらに年々株を大きくすることによって収穫量を増やす野菜です。1年目は2~3個しか収穫できないかもしれませんが、2年目は10個、3年目以降は15個~20個収穫するイメージを持って育てていきましょう。

日当たり

一年を通して、日当たりのいい場所で植えましょう。アーティチョークは花を食べる野菜です。綺麗な色で、大きな形の花を咲かせるためにはできるだけたくさん光合成ができるような場所で育てましょう。

土は砂地のサラサラ土壌のほうが作りやすいです。アーティチョークは加湿を嫌う野菜のため、粘土質土壌だと夏場に蒸れて、腐って枯れてしまうことがあります。砂地だとその危険性が少しなくなります。その反面、土壌が肥料をキープし続ける力の「保肥力」は、粘土質土壌のほうが強いため、追肥の手間は砂地より粘土質の方が少ないです。砂地は肥料が流れやすい構造のため保肥力に乏しいので、栽培期間が長いアーティチョークには向いていないという考え方もできます。

種まき

種まきは春の3月~4月、秋の9月~10月に種をまきます。市販のアーティチョークの種は発芽率がとても高いため、1袋購入するとかなりの数の苗ができます。メーカーによって1袋の種の量も値段も違いますが、種から育てる場合1株あたり5~10円で苗を作ることができます。

 

植え付け・植え方

4月の暖かくなってきたころ、苗が本葉4、5枚ほどになったら植えつけます。本葉とは植物の双葉以降に出てくるメインの葉っぱで、アーティチョークの場合はギザギザの葉っぱが目印です。双葉2枚出ると3枚目はギザギザの葉っぱが出ますので、それが本葉1枚目とカウントします。その状態の苗を畝にマルチを張り、株間1mほどで植えましょう。マルチは雑草を防ぐ目的です。雑草の管理がきちんとできる方はマルチなしの方が、真夏時の加湿を防ぐことができるので、できればマルチなしで育てましょう。また、アーティチョークはとても大きく育つので、株間があまり狭いと風通しが悪くなってしまいます。十分なスペースを確保しましょう。

苗選び

本葉4~5枚の苗を選びましょう。苗が大きすぎる老苗と呼ばれるものは植えつけ時の根っこの活着が悪くなってしまうため生育のスタートダッシュがしづらくなってしまいます。とはいえ、若い苗を2~3月に植えてしまうと苗が寒さにやられ、傷んでしまいます。適切な時期と苗の大きさに気を付けましょう。植えつけ時期が遅れる場合、1年目の収穫は期待できませんが、2年目以降は通常通り成長します。1年目は割り切れる方は植えつけの遅れは特に気にしなくていいかと思います。

肥料

肥料のやり方は緩効性肥料の元肥、生育期の液肥、お礼肥えとしての有機肥料の3種類あります。はじめに、元肥はマルチを張る前、緩効性のものをまきます。アーティチョークは長期戦のため、土壌に肥料が切れないようにすることが大切です。この緩効性肥料がじわじわと長い期間効けばいいですが、効き目は3~4ヶ月なので肥料が足りなくなってきたころに液肥で与えます。

液肥は持続性はありませんが即効性が高いので少し葉っぱの色が薄く感じる、株が小ぶりなどと気づいたら液肥をまきましょう。固形肥料の場合は肥料が足りないと感じた後の対処では遅すぎますが、液体肥料はぎりぎり間に合います。

開花期を過ぎた10月以降はお疲れさまでしたという意味を込めて有機肥料をあげます。化成肥料に比べて有機肥料の方がじわじわ効き、アーティチョークが肥料分を一気に吸収するのを防ぐためです。有機肥料を寒くなる前に与えておけば、冬もじわじわと生長します。

水やり

水やりは、植えつけ直後の活着前にたっぷりとあげ、あとは雨水で十分です。加湿に弱いため、この時期以外に水をやりすぎると腐る確率が高くなるだけではなく、根っこが張りにくくなる、茎が軟弱になるといった症状が出るので注意しましょう。

冬越し

アーティチョークの冬場の管理として、株元の凍結を防ぎましょう。寒さに強い野菜ですが、氷点下の気温により凍結することがあります。これを防ぐために株元に敷きわらや腐葉土、バークチップなどを敷きましょう。葉っぱが霜で傷むことはありますが、根元がしっかりとしていれば春先にまた新しい芽が出てきます。株元をしっかりとケアしましょう。

アーティチョークの育て方 プランター編

畑に直接植えて育てる場合でも、プランターで育てる場合でも、管理方法としてはおおむね同じです。プランター編ではアーティチョークの育て方応用編という意味でまとめてみました。

プランター
・深さ80㎝以上


・直径30㎝以上

・培養土は上等のもの

日当たり

種まき、苗の定植から収穫までの時間がかかる野菜のため、1日でも早く収穫したければ1時間でも長く日光が当たるところで育てましょう。少しの時間の積み重ねが2年後、3年後の財産となります。

プランターの大きさ

アーティチョークを何年も育てる場合、地上部が1mになるものもあります。その地上部を支える土台として、深さ80㎝以上、直径30㎝以上のプランターを選びましょう。大き目のプランターに2株植え、最終的には大きい1株を残しましょう。

培養土

培養土はけちらず、上等なものを使いましょう。アーティチョークは栽培期間がとにかく長いです。安い培養土だとすぐに肥料分がなくなり、土がかたまってしまい、病気を誘発します。そうならないためにも初期投資でしっかりと投資した方が、長期的には安全で安上がりで済むことが多いです。当サイトでおすすめしているものはタキイ種苗「タキイの培養土」です。

水やり

大型のプランターを用意し、そこに培養土をあけた状態で水をたっぷりやります。土が完全に水と交わったら種まき、もしくは苗を定植します。まっさらな状態でしっかりと土に水を含ませれば、水やりは2、3日に1回のペースでいいです。ポイントは初めにしっかり交じわせることです。土は水と交われば交わり続ける習性がありますが、一度乾いてしまうと交わりにくい習性を持っています。もし栽培途中で土の表面だけではなく、中心部までが乾いてしまった場合は相当な量、回数の水の量が必要なので注意しましょう。

アーティチョークの増やし方 

アーティチョークは株分けで増やすことができます。10月~11月の暑さが和らぎ始めた頃、アーティチョークの株元に葉っぱが5枚ほど出ている子株の周りをスコップなどで広い範囲を掘って分けます。主根と呼ばれる太い根っこから無数の細かい根っこが生えているので丁寧に扱いましょう。株分け作業を暑い時期にやると上手く活着しません。株分けされた株は大ダメージを受けた状態なので、8~9月の株分けや、残暑の厳しい時期の株分けは危険です。また、11月でも最高気温が10℃くらいまでしか上がらない場合も、気温が足りないため活着に時間がかかります。株分け時には気温や日差しといった天気に気を付けましょう。

 

アーティチョークの生育診断

 
 
 
 
 
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アーティチョークのチェックポイントとしては、葉っぱの形と大きさ、花(つぼみ)の大きさです。まず葉っぱの形について。品種にもよりますが、ほとんどのアーティチョークの葉っぱはギザギザしています。葉っぱが小さいため焦って追肥をして窒素分を一気に効かせると、葉っぱの表面積は大きくなりますが、ギザギザの形が丸みを帯びた形になることがあります。こうなってしまったらそれは肥料のやりすぎなので気を付けましょう。葉っぱが小さいと感じたら液肥を2~4週間おきに少しずつあげ、様子を見ましょう。

 

花の大きさにも注意が必要です。大きさの合格ラインは握りこぶしより一回り大きいくらいの大きさです。株は立派だけども、花が小さいという場合は根張りが不十分な可能性があります。元肥の時点で堆肥などをしっかり入れ、土壌にフミン酸やフルボ酸を供給しましょう。また、微生物系の肥料も有効です。土壌に微生物の量と種類を増やすことで、土壌内の食物連鎖のサイクルが増え、ふかふかで根っこが張りやすい土ができます。時には化学肥料とは別のアプローチも必要です。

アーティチョークの病気

アーティチョークの主な病気はうどんこ病、灰色かび病があります。これらの病気は菌がもともと土壌内にいた、というだけでは病気になるケースはあまりなく、植え付けや激しい雨でダメージを受けた、湿度が高いため菌にとって活動しやすい湿度になった、などといった複合的な要因が考えられます。

うどんこ病とは、うどん粉をまぶしたような白い粉状の物質が葉っぱ全体にうっすらと表れる病気です。この病気にかかると株が大きくならない、花が咲かないなどといった生育に関する不良がでて、ひどい場合は枯死することがあります。

灰色かび病は葉っぱや茎がくさり、灰色のカビに覆われるといった症状です。どちらの病気も早期発見で防げるので、日々の作物観察を心掛けましょう。

アーティチョークの害虫

 
 
 
 
 
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アーティチョークにみられる主な害虫としてアブラムシとヨトウムシがあります。寒い時期は大丈夫ですが、暖かくなってくると活動が旺盛になります。知らない間につぼみがアブラムシだらけ、葉っぱにはヨトウムシの食害にやられる、なんてことにならないように気を付けましょう。対策としては農薬だとベニカやゼンターリといった農薬で対応するか、農薬以外だと、防虫ネットを張り、肥料を与えすぎないなどといった対策があります。

アーティチョークの収穫時期

早いものだと6月にはつぼみを付けます。アーティチョークがつぼみを付け、花を開く前に収穫しましょう。花を開くと途端に味が落ちます。また、収穫時には切り戻しといって株のメインになる茎を切り落とし、側枝を生長させるような収穫方法をとりましょう。

収穫時の注意点

花を咲かせてしまうと味は落ちます。それでも花は切り落としましょう。花に栄養分を採られると株自体の生育が止まってしまうためです。花を付ければつけるほど植物は死に向かっていきます。長期収穫をするのならばできるだけ花を咲かせないように、また、花を咲かせてしまってもしっかりと落としましょう。

まとめ

 
 
 
 
 
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アーティチョークの栽培のポイントは長期生育を前提とした計画です。

  • 肥料は継続的にやる。
  • 夏の湿度対策のため、株間は広くとる。
  • 冬場の凍結対策を忘れない。
  • 収穫時に花を切り落とし、側枝からどんどんつぼみを付けさせる仕立てをする。

このことを押さええれば同じことの繰り返しなので農作業としては種まきや植え付けは1度限りで5年以上やらなくていいのでトータルの作業量は少ないかと思います。長期栽培のため栽培ハードルも難易度も高いかと思いますが、押さえるべき点を抑えれば思ったより容易に育てられるアーティチョーク。ぜひ一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

参考:【冬越し可能】バジルの育て方 種まきから増やし方まで詳しく解説