落花生

家庭菜園におすすめの落花生(ラッカセイ)は、土の中に伸びたつるに実がつき、生長する姿が楽しめる野菜です。
また、収穫してからの長期間保存が可能な野菜としても人気があります。

初心者の方でも育てられる落花生ですが、たくさんの実をつけるためには事前の土づくりが大切です。
この記事では、落花生の育て方の基本から、栽培での失敗を避けるためのポイント、病害虫の対策までご紹介します。

落花生の育て方のコツを知って、秋の収穫を楽しみましょう。

落花生の基本情報

落花生は、マメ科ラッカセイ属に分類される夏野菜の一つ。
南米のアンデス山麓を原産地とする落花生は、日本の暑さに強いのが特徴です。

落花生の育ち方は独特で、花が咲き終わったあとに、つるが土の中へ伸びて実をつけます。
”花”が土へ”落ち”て生えるため、落花生という名が付きました。

また、マメ科の根につく「根粒菌」は、空気中に漂っている栄養(=窒素)を、土の中に運んできてくれる役割があります。
そのため、根粒菌を持つ野菜を育てた後の土の中は栄養がいっぱいになるんです。

落花生の品種と特徴

落花生の品種は、早生から晩生までさまざま。
上に伸びる「立性」、土を這うように伸びる「ほ状性」、中間の特性を持つ「半立性」があります。

代表的な品種と特徴についてご紹介します。

千葉半立(ちばはんだち)

立性とほ状性の両種をかけあわせた「半立性」の代表品種。
大粒で収穫量は多くありませんが、味がよく、省スペース栽培の家庭菜園におすすめの品種です。

おおまさり

立性で、一般的な落花生に比べて2倍ほどの大きさがある落花生の代表品種。
収穫量も期待でき、甘味が強く、やわらかい食感で食べ応えがある人気品種です。

郷の香(さとのか)

立性の早生品種で、収穫量が期待できる品種。
実には香りやコクがあり、ゆで落花生にするとおいしい品種です。

おおまさりネオ

大粒で人気の「おおまさり」の後継品種として育成された品種。
株はコンパクトにおさまり、病気に強く、より育てやすく改良された新品種です。(令和4年に品種登録)

落花生栽培の手順とポイント

落花生の栽培では、実を育てるための事前の土づくりが大切です。
家庭菜園では、落花生を育てられる十分な栽培スペースを確保し、適切なタイミングで収穫時期を迎えられるように育てていきましょう。

落花生栽培の手順は以下のとおり。

  1. 土づくり・畝づくり
  2. 種まき(または苗の植え付け)
  3. 追肥
  4. 収穫

落花生をたくさん育てるための手順とポイントについて解説します。

土づくり・畝づくり

落花生は、水はけの良い火山灰土や砂質などの軽い土を好みます。
粘土質の土は不向きのため、水はけの良い土にしておきましょう。

石灰分が不足すると空さやが増えるため、石灰を施しておくことも大切。
2週間前を目安に、たい肥と石灰をまいてよく耕し、1週間前に化成肥料をまき、80cmほどの畝をつくります。

注意点として、マメ科の連作障害を避けて植える場所を決めるのも重要です。
マメ科の植物(枝豆やソラマメなど)を2〜3年栽培していない場所を選びましょう。

種まき(または苗の植え付け)

落花生の発芽適温は、20〜30℃。
地温が15℃以上にならないと発芽しないため、しっかり暖かくなってから種まきをしていきましょう。

80cm幅の畝で2列、株間は30cmが目安です。
落花生の種は、鳥が食べてしまうこともあるため、心配な場合はペットボトルなどを被せておくと安心ですよ。

苗から植える場合でも、地温が15℃以上になってから植え付けをおこないましょう。

追肥

落花生の花が咲きはじめたら、1㎡あたり30gを目安に化成肥料をまきます。
花が終わったあとのつるが土に入りやすいように、株のまわりの土を軽くほぐして肥料を混ぜこんでおくのがポイントです。


落花生などのマメ科の植物は根に「根粒菌」を持っているため、少量の肥料でも育ちます。肥料を与え過ぎると葉ばかりが茂って実がつきにくくなるため注意しましょう。

収穫

10〜11月頃、葉っぱが黄色くなってきたら、いよいよ収穫のタイミングです。
早生(わせ)、晩生(おくて)など、品種によって収穫時期が異なるため、事前に確認しておきましょう。

収穫は、つるの全体を持って、株ごと引き抜いてください。
土の中にこぼれ落ちている実は、手で残さず収穫します。
実を残したままにしておくと、翌年のネズミ被害が増える可能性があるため注意しましょう。

収穫後は、2〜3週間ほど十分に乾燥させてから、さやを取り外します。
鳥などの被害にあわないように、ネットなどで覆っておくと良いですよ。

落花生の病害虫について

落花生栽培で気を付ける病害虫は、「褐斑病(かっぱんびょう)」「茎腐病(くきぐされびょう)」「ヨトウ類」「ハダニ類」など。
害虫は5月頃から、病気は6月頃から発生しやすくなります。

落花生の病害虫を予防するためには、連作栽培を避けて、畑周辺の除草をすることが大切です。
病害虫を見つけたらなるべく早く取り除き、繁殖を防いでいきましょう。

落花生栽培についてのQ&A

比較的育てやすい落花生ですが、種から芽が出てこなかったり、実がうまく付かなかったりすることがあります。
落花生栽培のよくある質問を知って、失敗を防いでいきましょう。

Q.種から芽が出てきません

落花生の種から芽が出てこない原因は以下が考えられます。

  • 発芽適温になっていない
  • 水不足
  • 鳥やネズミに食べられてしまった

落花生の発芽には十分な温度が必要なため(15℃以上)、温度が低いと発芽しません。
また、種をまいてからは、しっかりと水を与えて土と種を密着させてあげましょう。

鳥やネズミが種を食べてしまうこともあります。
発芽までネットなどで囲うか、ポットで確実に発芽させてから植え付けると良いでしょう。

Q.落花生の中身がカラになるのはなぜ?

落花生は、カルシウムが不足してしまうと実が空になってしまいます。
そのため、土づくりでは事前に石灰を土に混ぜておくことが大切です。

また、落花生は収穫時期が遅れると実の風味が落ちてしまうため、時期になったら早めに収穫しておくと良いでしょう。

Q.落花生はプランターで栽培できますか?

落花生はプランターでも栽培できます。
ただし、土の中に実をつける落花生は大きめのプランターで育ててあげると良いでしょう。

花が終わったあとに伸びたつるの先に実がつくため、プランター栽培では、つるを土の中に誘導してあげると確実です。

まとめ

落花生に合わせた土づくりをすることで、家庭菜園でも簡単にたくさんの実を収穫できます。
植え付け時期や追肥のタイミングを守り、実を大きく育てていきましょう。

花もかわいらしく、つるを下に伸ばすおもしろい姿を見れるのは家庭菜園ならではの楽しみです。
料理からおやつまで、おいしく楽しめる落花生栽培にぜひ挑戦してみてくださいね。