農業の仕組みとビジネスがこれ一冊でしっかりわかる教科書

 園主 園主

農業についてとにかく広く知りたい。
今農業で何が起こっているか、色眼鏡なしで知りたい。
そんな方におすすめの本です。


農業の仕組みとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書

著者は農業ジャーナリストの窪田新之助さんとジャーナリストの山口亮子さん。

窪田さんはロボットAI農業の著書もありかなり農業に精通している方です。

この○○の仕組みとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書シリーズは、農業のほかに保険や金融もあります。

さらに「食品業界」編もあるので、要チェックですね。

農業の現状、取りまく企業、課題が1冊でよくわかる

本書は農業の現状、消費動向、最新技術、国策、流通、環境要因、貿易戦略といったパートにわたります。

まさにこれ1冊で広く網羅できるようなラインナップです。

農業の業界研究、農業業界への理解に必須の本だと思います。

耕作放棄地を問題視する必要はない

農業業界紹介の類のものを手にすると気になるのが、その本のスタンスです。

有機農業・JA・海外の事例・補助金・政策などについてどのように語られるか。

「有機農業が未来を切り開く」や「JAが諸悪の根源!解体せよ」などといったわかりやすい論調なのか濁しているのかが注目です。

その点、本書は1つのテーマに対し見開き1ページで半分近くが図解という構成になっています。

そのため、本書ならではの主張が垣間見えず、ふわっとした論調にとどまります。

むしろ、タイトルに教科書を冠しているため、当たり前といえば当たり前なのですが…

序盤のJAに関しては准組合員>正組合員の構造を疑問視するにとどまり、新規就農支援への予算配分は疑問視。

その他は基本中立です。

しかし、ひときわ目立つのが「農作放棄地を問題視する必要はない!」という論調です。

耕作放棄地はを農地に戻すことは物理的にはそう難しくない。耕作放棄地は採算が悪いからなすべくして耕作放棄地になった。という主張。

耕作放棄地ネタはSDGs文脈でも肯定的に映る、社会性の高い取り組みです。

そのため一部の農家(とくにクラウドファンディング界隈)は耕作放棄地を取り戻す活動でお金を集めている事例が結構あります。

そこに一石を投じるこのページに出会えただけで、本書を手にとって良かったと思いました。

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