農家の研修先ってどう選べばいいの?家から近いところでいい?
この記事では、農業を始める方のほとんどが通る道、農業研修についてお話しします。
農業の知識家ゼロに近い状態にとっての研修先とは、親みたいなものです。
つまり、ゼロから入ってくる知識こそが正義になりかねません。
そのため、そこで得た情報が自身の農業感を大きく方向づけます。
誤った情報、変な感覚を身に付けないためにも、研修先選びはとても重要です。
農業研修の目的
一言でいうと、農業技術を学ぶことをメインに学びながら仕事をするとってもお得な制度です。
要件を満たせば最長7年間、年間150万円の給付金がもらえます。
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農林水産省:https://www.maff.go.jp/j/new_farmer/n_syunou/roudou.html
農業初心者の方はもちろん、家庭菜園などでの経験者でも自分の持つ仮説が通用するか、本格的に就農する前にテストマーケティングを行えます。
農業の基本である野菜の作り方、誰にどんな値段で売るか販売の仕方、土地の確保の仕方。
それらが同時に学べることができます。
しかし、油断してはいけません。
農業の知識についてまっさらな状態で間違ったことを教えられた場合、それがあなたの常識になってしまいます。
研修先が無農薬で栽培していたら無農薬こそが正義に、研修先が雑に仕事をしていたら雑にやっても野菜はできるものだ、という認識になってしまいます。
間違ったことを教えられても自らブレーキをかけられるように、自分なりの物差しをあらかじめ持っておくことが大切です。
そこで、この記事では良い研修先・悪い研修先についてまとめ、研修するならこんなところといった研修先選びのベースを提示していきたいと思います。
研修先の選び方
・販路
・栽培作物
・栽培方法
・面積・人数
・売上
研修先のチェックポイントとしては上記になります。
研修先選びの段階で判断しきれないこともあるかと思いますが、
その時は研修終了までにこれらの適正値がイメージできうる研修先なのかどうか、ということを判断材料にしましょう。
それでは順に解説していきます。
販路
販路とは、作った野菜をどこに売るか、ということです。
JAに売るか、ダイレクトに市場で売るか、道の駅・直売所に売るか、仲卸に売るか、などといった候補があります。
どの販路が自分に合っているかは、自分の興味のあるスタイルによりけりです。
大規模で産地化されている野菜を育てたい場合はJAですし、ちょっとマニアックなニッチな需要を狙っていきたいなら道の駅・直売所がいいでしょう。
また、販売先は1つにする必要はありません。
最終的に自分に合った販売のスタイルをイメージしてバランスしましょう。
栽培作物
この記事を読んでいる方は「野菜作り」には興味があると思います。その「野菜」とは、何でしょうか。
ニンジンですか?玉ねぎですか?ブロッコリーですか?
具体的な品目までイメージできていますか?
極端な例を言うと、キャベツを作りたい!と思っているのにトマト農家のもとへ研修に行ってもしょうがないということです。
同様に、ミニトマトを作りたいと思っているのに大玉トマトの農家さんのもとへ研修に行ってもしょうがないです。
自分の作ってみたい野菜が決まっている場合は、その野菜を作っているところへ研修に行きましょう。
ここでの注意点は同じ作物でも出荷時期が違うなどといった栽培スタイルが異なることがある、ということです。
例えばトマト農家と一括りに行っても、露地なのかハウスなのか、ハウスの場合は加温(ハウス内の温度を上げる設備)ハウスなのか無加温(ビニールハウスのみ)ハウスなのかで仕事内容が違います。
キャベツにしても旬の作型なのか時期ずらしの作型なのかといった違いで作業が違ってきます。
就農後の自分のイメージを具体化するために、たくさんの研修先候補について調べてみましょう。
栽培方法
栽培方法は大きく、慣行農法、減農薬、無農薬、有機栽培、自然栽培があります。
農薬を使うor使わない、土作りへのこだわりが違うといった分け方をされることが多いとは思いますが、一番の違いはKPIの違いです。
慣行農法のKPIは収穫量や納品数ですし、無農薬・減農薬のKPIは単価、自然栽培の場合はライフスタイルになります。
もちろん、農家さんごとに一番の核となる部分は違うので、あなたにとって一番大事な部分と研修先の農家さんの大事な部分をよくすり合わせていく必要があります。
何が正しくて何が間違っているということがない世界ですが、皆さんその哲学にこだわりを持っているので決して否定することのないようにしましょう。
ただ、ここでの注意点は例えばKPIが収量なのに大規模化や機械化しない農家さんのように矛盾しているところには気を付けましょう。
なんとなく野菜を作っているところからは何となくの知識や情報しか得ることができません。
面積・人数
その研修先がどれくらいの広さを管理しているかをチェックしましょう。
面積を従業者数で割れば、これくらいの広さの畑を管理するのに必要な人数のイメージができます。
自分一人で働く場合は平均以上の栽培管理ができるかと思いますが、将来的にスタッフを雇うとなった場合まで考えてイメージできるとなお良いですね。
その他には、面積と必要な設備を見ておくことも大事です。
1haの畑を管理するのに必要な作業場の広さであったり、トラクターの大きさは何馬力必要かといったような情報です。
就農後、適切な投資を行うための規模感を学びましょう。
売上
売上も面積と同じく、1人当たりどれくらい売り上げを立てているのか、適切な人員を配置しているのかをチェックしましょう。
建設業などの企業が農業に参入する場合、「本業が閑散期だから」という理由で人員過剰になっているケースがよく見受けられます。
本業が閑散期だからとはいえ、生産性の低い仕事をしても良いということにはならないので注意が必要です。
また、年間売り上げだけではなく、月間の売上も確認しましょう。特に多品目作っている農家さんだと冬野菜が得意なのか夏野菜が得意なのか、苦手な季節はいつなのかといった数字が月間売り上げで明らかになります。
苦手な季節がわかり、それの対策を示すことができればあなたは研修生としてかなり重宝される存在になるでしょう。
また、売上のうちの経費がどれくらいかかるかということも知っておく必要があります。
販路・出荷先によって納品形態が異なるため、かかる経費も変わってきます。
自分なりの理想の経費バランスの仮説を作りましょう。
まとめ
ここまで読まれてお分かりだと思いますが、販路・栽培作物・栽培方法・面積・売上のこれらの要素はすべてお互いにつながっているということです。
どこで、どんな人に売りたいかイメージできたところで栽培作物や栽培方法、必要な面積などがきまってきます。
そのため、スタートとしては誰に売りたいかをイメージしましょう。
そうすることで具体的な作物であったり、どうやって作るかということが決まってきます。
自分の住まいから近いから、知り合いの人が勧めてきたからという理由で研修先を選ばず、自分なりの基準を満たす研修先で学びましょう!