緑肥
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緑肥は土作りに欠かせない!って聞くけど、緑肥って何ですか?

 園主 園主

緑肥とは、土壌を改善させる働きがある作物のことだよ。

この記事では緑肥について解説していきます。

この記事の内容

・緑肥の目的
・緑肥の活かし方

土作りについてはこちらもご参考ください。

絶対おすすめ土壌分析|メリットと注意点

 

緑肥とは

緑肥 トウモロコシ

緑肥とは、作物の肥料や害虫の除去などの土壌の改良を目的として育てられる作物のことです。

有名な作物はソルゴー、トウモロコシ、エンバクなどがあります。

緑肥は種をまき、成長し、すき込まれ、土の中で分解が進みます。

予め分解されたものを施用する完熟堆肥とは異なり、土の中で分解を進めるため、1か月ほどの腐熟期間が必要になります。

緑肥のメリット

栽培に3か月ほどかかり、すき込んでから分解するまでさらに1か月ほどかかります。

そのため、その期間に土を休ませることができるので連作を輪作体系にすることができます。

緑肥に期待できる代表的な効果は3点です。

緑肥のメリット

・物理性の改善
・投入する肥料を減らす(減肥)
・土壌侵食対策

デメリットは時間がかかることです。

作物を生産して、3か月ほど置いておくこと。さらにできた作物をすき込むこと。すき込んだ後、分解させる期間を十分に置くことが挙げられます。

緑肥の目的

土壌改良

さまざまなメリットがある緑肥作物。

緑肥作物ごとに期待できる効果が違うのでどんな目的で育てるのかを意識して育てましょう。

例えば、減肥を期待しているのに緑肥作物の代表的なものであるヒマワリを育ててもあまり意味がありません。

目的と作物を明確にすることで緑肥のメリットを100%受けられるようにしましょう。

緑肥の目的

・物理性の改善
・化学性の改善
・生物性の改善
・景観保持など

物理性の改善

主な品種:トウモロコシ、ソルゴー、ライムギ、セスバニアなど

物理性の改善とは、作物の根っこがすくすく伸びる環境づくりをすることです。

イネ科の緑肥は地中深くに根っこを張り、ロータリーよりも深くまで根を伸ばします。

地中深くまで太い主根を伸ばし、そこから細い無数の根っこを広げます。

この根っこが土の中で分解され水や空気の通り道となり、土がフカフカになります。

事例:セスバニアによる諫早湾開拓地の排水性改善
http://www.naro.affrc.go.jp/org/karc/seika/kyushu_seika/2003/2003565.html

化学性の改善

主な品種:ヘアリーベッチ、マメ科緑肥

化学性の改善とは、土壌の肥料分を高め、肥料が長く効く肥えもちを良くする腐植を増やすことです。

緑肥由来で肥料分を供給することで、堆肥や化成肥料などの施用量を抑えること(減肥)ができます。

北海道の例だと、春撒きヘアリーベッチ播種後50~70日、乾物収量300kg/10a で窒素3~4%との報告があります。

北海道以外の暖かい都府県では、分解が進むため。より減肥量が期待できます。

生物性の改善

主な品種:つちたろう、ヘイオーツ、燻蒸作物

生物性の改善とは野菜にとって害となる線虫や病原菌を減らし、有用な微生物を増やすことです。

そのために微生物の住みかを作ること、エサを与えることが欠かせません。

緑肥作物はエサや住みかとなる有機物の塊のため、増えた微生物が留まる環境づくりに役立ちます。

病害虫のクリーニングをしながら有用生物を増やすことが一度に期待できます。

その他の役割

菜の花、ヒマワリ

遊休地、耕作放棄地に緑肥を育て、景観維持や農薬飛散防止、防風防虫目的として使われます。

代表的なもので菜の花やヒマワリがあり、町おこしや観光客誘致としても一役買っています。

緑肥のサイクル

緑肥のサイクル

これだけ種類も効果も多すぎて、何から手を出したらいいのかわからない・・・

そんな方へ向けて、新規で畑を借りた場合の緑肥の有効的な使い方を紹介します。

注意点ですが、ここで使うソルゴーの播種適期は5~8月のため、その期間内に作業ができるように逆算して作業をしましょう。

1.種菌となる堆肥を入れる

手に入りやすい堆肥を10aあたり10tほど入れていきます。

水はけや雑草の生え方など、畑の状態によりますが耕作放棄地を緑肥で回復させるときは大体10t~20t投入しましょう。

2.トラクターでなじませる

堆肥を広げ、トラクターですき込みます。

堆肥の量が多いためなかなかなじまないかもしれませんがひとまず平らになればOKです。

3.ソルゴーを全面播種

ソルゴーを10aあたり4~6kg、播種時期は5月~8月に撒きます。

種まきごんべえなどの播種機を使わず、バラまきでも発芽します。

4.モアーで細かくする

播種後2~3か月後、草丈が1,5m~2mほどになったらモアーで細かく粉砕します。

このとき、ソルゴーの先から穂が出てきたら茎が固くなり、分解するのに時間がかかります。

穂が出る前、もしくは出た瞬間にすき込みましょう。

モアーがないときは草刈り機で借り倒してしばらく放置しても大丈夫です。

5.放っておき、また伸ばすのを待つ

ここがポイントです。

上部のみを刈り、根を付けたまま放っておくとまた新芽を伸ばします。

上部だけを刈り取り、根は付けたままでまた生えてくるまで待つ。

再び上部が1m~2mほど、穂が出る直前まで伸ばしましょう。

モアーから2か月ほど経った頃です。

2回伸ばすことで、さらに根が細かく張ります。

6.再びモアーで粉砕

十分に伸びたら、今回も茎が固くなる前にモアーをかけ、細かく刻みます。

ソルゴーを伸ばしてすき込んでを2回もできれば、排水性は相当改善されるかと思います。

7.元肥を施用&トラクター

いよいよ、本格的に作の準備です。

堆肥・化成肥料などを投入しましょう。

ソルゴーの分解に窒素分をかなり使うので、窒素を多めにいれましょう。

8.作付

トラクターから1,2か月後、いよいよ作付けが始まります。

この時、ニンジンや大根のような根菜類はソルゴーの未分解のものが根に当たり、又割れを起こすものができやすいです。

根菜類はこの作では除外しましょう。

まとめ

緑肥作物の効果、活かし方について紹介してきました。

土作りの序盤で、スタートダッシュすべくブースト機能がある緑肥作物。

一見、面倒で時間がかかりそうではありますが、これが土作りにかかる時間を大幅に短縮します。

広めに畑を借りて、できるだけ緑肥を育てる余裕を持ちましょう。