ハーブ パクチー

この記事では「パクチーを育ててみたいんだけどこつはあるの?」「なかなか発芽しなくて困っている」など、パクチーの栽培に関するお悩みをお持ちの方向けに書いています。
パクチーの基本情報から栽培で抑えるべきポイントまで、わかりやすく解説します。

参考: モロヘイヤの栄養は?モロヘイヤの栽培方法・育て方は?モロヘイヤの作り方のポイントや料理の仕方を紹介します。

パクチーってどんな野菜?

パクチーの呼び名

パクチーの別名としてコリアンダー、香菜(シャンツァイ)、と表記されることがあります。
パクチーはタイ語、コリアンダーは英語、香菜は中国語ですが日本ではタイ語のパクチーが最も使われていますね。
生産や販売の現場だと一番通りがいい名前はコリアンダーです。またコリアンダーとは種から5センチまでのもの、パクチーは5センチ以上の根っこ付きのもの、香菜は……。といったように使われます。
海外の方は英語読みのコリアンダーでは通じますが、パクチーでは通じないことなんかもあるのでご注意を。
尚、本記事では統一してパクチーと表記します。

パクチーの基本情報

パクチー(コリアンダー)とは地中海沿岸原産の野菜でその豊富な栄養素から瞬く間に世界各国へと広まり、日本にも例外なく進出してきました。
パクチーの豊富な栄養素とは、ビタミンB、ビタミンE、Bカロテン、カリウム、そしてゲラニオール、リナロールです。ビタミン、カロテン、カリウムは体の調子を整える、免疫力アップさせる成分としておなじみですね。注目すべきは昨今のパクチーブームのけん引役と言われているゲラニオールとリナロールです。
ゲラニオールとはバラの香りに含まれる成分でリナロールはラベンダーやベルガモットに含まれている成分です。リナロールもゲラニオールもアロマオイルや芳香剤でよく使われています。その効能は主に、沈静作用、リラックス作用、そして女性ホルモンの分泌を促進、ホルモンバランスを整えるといった作用があるといわれています。
アロマオイル成分を口にするということを想像すると、かなり心の健康が増進されそうですね。
つまりパクチーを食べるとビタミン・カロテン・カリウムで体の調子を整え、リナロールとゲラニオールで心の調子を整える野菜なのです。
ところで“健康”という言葉の由来をご存知ですか?諸説ありますが一説によると“健体康心”という四字熟語の略だといわれています。
健体康心に振り仮名をつけると、「健やかな体、康らかな心」となります。
心も体もニュートラルにしてくれる作用のあるパクチーはまさに健康野菜という称号がふさわしいですね。

パクチーの選び方とおススメの食べ方

市販されているパクチーは主に2種類あります。
地上部、つまり葉っぱと茎のパクチーと根っこ付きのパクチーです。
生産者としては株は土に残して茎や葉をかくと、そこからまた生育してくるので地上部のみが一番オイシイのですが、パクチーの根っここそが栄養の塊なのです。
少し丁寧に洗う必要はありますが洗った根っこからとれる出汁は最高です。水からゆっくり取り出した根っこの出汁を、葉は細かく切り刻んだパクチーのスープをぜひとも一度味わってみてください。

パクチーの育て方

パクチーの播種期と旬の時期

パクチーは畑に直接種をまく方法でも、苗を育ててから定植する方法でもどちらでもできます。
パクチーの根っこは直根と言って主となる太い根っこから細い根っこが出てくる特徴があるので、できれば植え替えずに畑に直接まく直播のほうがいいです。
因みに根っこの種類は直根とひげ根があります。中学理科の内容です。思い出してください。
直根の野菜はパクチーのほかには大根、ニンジン、ゴボウなどの根菜類をはじめ、ほうれん草、白菜が代表的です。大根やニンジンは植え替えてしまうと曲がったり変な形になってしまうという想像はつきますよね。
ひげ根タイプの野菜はネギ、レタス、ブロッコリーなどです。
話をパクチーの種まきに戻します。
いつ種をまけばいいのか。答えはいつでも大丈夫です。
数年前までは8、9月ごろに種まき、11月~翌年3月まで収穫という、冬野菜特有の作型のみでした。
しかしここ最近はパクチーの品種も様々なものが販売されているので種をまきたい時期の直前に園芸店で売っているもの(基本的に季節外れの商品は売っていないはずです)で問題ないです。
ただ一点だけ頭の片隅に置いておいてほしいことは、パクチーの種には通常品種と晩抽品種があるということです。
晩抽とは遅くに抽苔(花芽を付けること)する、つまり花をつけにくい品種のことです。
多くの作物は冬の寒さに当たった後に暖かい春を迎えると、「大きく育とう」というよりも「子孫を残さねば」という意識に変化し、葉っぱや茎のような体を大きくすることはほどほどに種(子孫)を残そうという変化を起こします。これを生殖成長といいますがその話はまた今度。
この作用が鈍いサンプルばかり集められたものが晩抽性のパクチーということになります。
そのため1月~4月に種をまく場合はこの晩抽性と種の袋に書かれているものを選びましょう。

パクチーの収穫期

真冬で寒くて成長しない時期を除けば種をまいてから60日ほどで収穫できます。
前述したとおり収穫方法は2通りあって茎や葉っぱをかく収穫方法なら60日~150日ほどまで収穫を続けることが可能です。
栽培期間が長くなってくると白くて小さい、かわいらしい花を付けます。ちなみにパクチーは花も食べることができます。むしろ花のほうがパクチーの独特なにおいが控えめで、甘みが増しているので食べやすいかもしれません。花は食べないという方はここで収穫終了ですが、最後に根っこを引っこ抜いて根っこを食べてみましょう。香りは茎の3倍ほど感じられますよ。

パクチーのよくある失敗

パクチーの栽培は発芽で勝負が決まるといっても過言ではないかと思います。
多くの野菜の発芽率は70~85%ほどなのですが、パクチーに関しては50%前後になっています。
さらに種→発芽というこのステージでの水分要求量がとても多いです。ここはぜひとも気を付けてもらいたいです。
毎日しっかり水やりをする!でもいいのですがちょっとした技があります。
それははじめに、種をまいてから水をやる、のではなく、水をやってから種をまいて水でふたをする、です。
この工程をとることで土に十分水分がいきわたることで土が締まって、さらに毛管現象により水分切れが起こりにくくなる状態を作ることができます。そこに種をまいて覆土をし、最後に覆いかぶせた土が飛んでいかないためにちょろっと水をかけます。いつものように種をまいてからたくさんの水をかける、というやり方だと土が締まるほど水をやってしまうと種が流れて行ってしまうことがあります。1方向へ流れて行ってある1箇所で固まって発芽した日にはもうさんざんですね。
また、このやり方の応用としては雨の前日に畝たてをする→雨が降る→マルチを張る→種まきや定植を行うという方法があります。
こうすることにより畝にたまった雨水がマルチシートでふたをされ蒸発により地上へ水分が逃げ出にくくなっているので生育初期にたくさんの水を供給することができるテクニックです。

パクチーって儲かるの? パクチーの経営的観点

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栽培では気を遣う点は発芽と抽苔です。
発芽は先ほど記述したちょっとした工夫で何とかなりますが抽苔に関しては2年くらい失敗してようやく「この時期に種まきするとこうなる」といったような感覚がつかめてくるはずです。
営業的側面では知名度はまず問題ありませんね。というよりむしろブームなのでチャンスだと感じています。生産者だったらこの波にうまいこと乗りたいものですね。 栽培面積もそんなに必要がないパクチー、家庭菜園の方も貸し農園の方もプロの生産者の方も是非一度育ててみてはいかがでしょうか?

参考:健康野菜チコリって?育て方・栽培のポイントを紹介します。