前回の記事ではにんにくの栄養価などの基本情報についてまとめました。この記事ではにんにくの育て方、よくある失敗のパターンについてまとめました。1番の注意点はズバリ!日当たりです。日当たりに気を付けてさえいれば、畑でもプランターでも育てることができます。そのほかにはどのような注意点があるのか、順番に説明していきます。
参考: ルッコラセルバチカ(セルヴァチーカ、ワイルドルッコラ)の育て方のポイント
にんにくをプランターで育てる場合
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・幅60㎝以上
・深さ15㎝以上
・過湿になりにくい培養土
プランターの大きさ
にんにくは幅60㎝以上、深さ20㎝以上のプランターがあれば育ちます。プランターが大きく、深い方がにんにくの根が張る面積が広くなるため、大玉のものが作りやすいです。
培養土
にんにくは土を選ばず栽培できるため、一般的な野菜用の培養土を使いましょう。水はけが悪く、過湿気味になると病気になりやすいので、できるだけサラサラの培養土の方が育てやすいです。
日当たり
過湿を避けるポイントとしては日当たりが最も重要です。万が一、水はけの悪い培養土を購入してしまったとしても、日当たりの良いところへ置いておけば過湿を防げるからです。さらに、過湿を防ぐだけではなく、光合成も促進させる面からも病気に強い健康なにんにくを育てられます。
にんにくを畑に植えて育てる場合
・元肥は緩効性肥料
・株間15㎝
・マルチを張る
・日当たりは必須
・食用のものではなく、栽培用のタネを使う
元肥
にんにくは肥料をたくさん必要とする野菜です。堆肥や緩効性の肥料をしっかりと入れましょう。即効性の化学肥料はにんにくが十分に吸収できないため、肥料が流れてしまいます。元肥は緩効性で追肥は速効性の肥料をあげましょう。また、にんにくは害虫には強いですが、病気にかかりやすいです。連作すると病原菌が畑の中で繁殖するので避けましょう。
株間
株間10㎝~15㎝、条間15㎝の間隔で植えます。ほかの野菜よりも狭くとっても大きいものができるので、株間や条間はあまり気にせずどんどん植えましょう。ただし、無農薬で作る場合は風通しが悪くなると病気になりやすいため、風通しは十分に確保して植えましょう。
マルチ
にんにくは栽培期間が約8か月と長いため、栽培中に雑草に飲み込まれることがあります。丁寧に草取りできればいいのですが、マルチを張ることをおすすめします。穴あきマルチでも、穴の開いていないものでも構いませんが、穴の開いていないマルチを使い、植える時に自分で穴をあけた方が穴の面積が小さくて済むため、雑草対策には効果的です。
日当たり
太陽のよく当たるところでないと、大きく育ちません。たっぷりと光合成できるように日当たりの良いところで育てましょう。
植え付け
にんにくの種は夏の暑さの盛りに販売されます。ホームセンターや園芸店のものではなく、スーパーの食用にんにくでも育ちます。しかし、食用のものは殺菌消毒されていないため、病気にかかりやすいです。できるだけ専門店で販売されている栽培専用のものを使いましょう。種が準備できたらにんにくを1個ずつに分けます。このにんにく1片が種1粒と同義です。1個1個わけたあとは、料理をするときのようにそれ以上皮をむく必要はありません。あとは適温適湿で皮を破って先端のとがった方から発芽します。とがった方を植え向きに植えていきましょう。
にんにくの栽培のポイント
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品種選び
・寒冷地…ホワイト六片、福地ホワイト
・暖地…平戸にんにく、紫にんにく
・万能…ジャンボにんにく、ミニにんにく
品種は育てる地域が寒冷地か暖地かによって異なります。寒冷地では寒冷地の、暖地では暖地で育てられている品種を選ぶようにしましょう。
品種と地域があっていないと生育不良や耐病性の点から失敗の原因になります。
肥料
元肥には堆肥やぼかし肥、シグモイド型といわれるじわじわ効くタイプの肥料を選び、追肥にはチッソ・リン・カリのバランスがよい即効性の肥料を使いましょう。追肥のタイミングとしては合計2回、1回目は11月までに、2回目は3月ごろに与えましょう。12月を過ぎると寒くなるため、肥料をあげても根っこの働きが鈍く、うまく吸収されません。また、4月以降の遅い時期に肥料を与えると、収穫後のにんにくが腐りやすくなってしまいます。追肥のタイミングには気を付けましょう。
水やり
にんにくは水分要求量が多くないため、自然の雨任せでも発芽します。また、栽培期間中も過湿を嫌うため、特に水やりの作業を行う必要がありません。
芽かき
1株から複数の芽が出ることがあります。その場合は生育が遅い芽を刈り落として、1本にしましょう。また、春になると若葉色の花芽をつける「塔立ち」をします。軽く引っ張ると花の部分だけがスポっと抜けるので花を付けないように抜きましょう。因みににんにくの芽とはこのスポっと抜ける部分のことを指します。油でいためて、オイスターソース等で味付けをすると絶品です。
にんにくの収穫
5月下旬~6月にかけて葉が枯れ始めたら収穫のサインです。この葉っぱが枯れるタイミングが早すぎる場合、病気の可能性があります。その場合は畑一体に広がる前に収穫しましょう。収穫の日は畑が良く乾いたタイミングを狙いましょう。湿気の多い日の収穫だと、収穫の時に傷ついてしまい、そこから病気の菌が侵入しやすいです。また、収穫後半日~1日は日光で十分に乾かします。そのため前後2.3日は晴れた日に収穫しましょう。
にんにくの生育診断
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葉っぱの色
栽培期間中はにんにくの葉っぱの色に注目してください。9月に植え、発芽してしばらくたった11月、緑が濃すぎてはいませんか?濃すぎる場合は肥料過多のため、追肥はしないでください。反対に薄い場合、焦って大量の肥料を一気に上げないでください。病気になります。対処法としては固形より液体肥料(液肥)が良いです。様子を見ながら10日に1回ずつ液肥をまいてください。また、冬を越えた2月ごろ、葉の色が薄くなっていても同様に対処してください。4月だけど葉っぱの色が薄いという方はその時期に追肥をあげても病気のリスクが増えるだけ、もしくはすでに病気の可能性があります。早めに収穫しましょう。
にんにくの病気・害虫
うどんこ病…白い、うどんの粉
さび病…赤い斑点
灰色かび病…白く腐る
アブラムシ…葉っぱの表面につく小さい虫
ハダニ…白いひっかき傷
にんにくの病気はうどんこ病、さび病、灰色かび病があり、害虫はアブラムシ、ハダニがあります。
うどんこ病は葉っぱの表面にうどん粉をまぶしたような症状が特徴です。さび病は葉っぱに小さな赤い点のできものができ、放っておくと葉先から枯れてしまう病気です。灰色かび病は低温時に湿度が上がると多発します。根元から白く腐り、枯れる病気です。どの病気も雨が続き、強い風が吹くとたちまち畑全体に菌が広がってしまうので、見つけ次第引っこ抜いて2次被害を防ぎましょう。また、害虫のアブラムシは窒素肥料が多いと多発し、病気を誘発します。ハダニは葉っぱに寄生し、表面の葉緑素に傷を付けます。白く、ひっかかれた状態にさせられます。
にんにくの育て方の注意点
・病気
・貯蔵
・肥料
にんにくの育て方の注意点①病気
にんにくの栽培が失敗する一番の原因は病気です。植えつけ後すぐに寒くなるため病気の発生が目に見えず、放っておくことがあります。気温が低いと病原菌は活動をしませんが休眠しているだけなので暖かくなる3月ごろに目を覚まし、旺盛に活動します。12月、1月には順調に生育しているので病気の心配ない。と油断していると対処が遅れ、取り返しのつかないことになります。そうなる前に規模の大きい方は特に冬場の防除、有機JASレベルならタフパールやボルドー、慣行栽培ならダコニールやカリグリーンなどでしっかり対策をしましょう。
にんにくの育て方の注意点②貯蔵
にんにくを収穫するとき、湿度の高い状態で収穫してしまうとすぐにカビが生えてきてしまいます。そうなると1年近く年月をかけたにんにくが水の泡になってしまいます。収穫前後の天気や湿度には十分に気を付けましょう。
にんにくの育て方の注意点③肥料
にんにくが思うように大きくならないと肥料を与えたくなる気持ちはわかります。しかし、にんにくの大きさの6割は元肥と根張りの物理性で決まってしまいます。土づくりにしっかりと目を向けることで大きく立派なにんにくを作ることができるので会って、追肥をたくさんやっても大きくはなるかもしれませんが、病気になりやすい、腐りやすいものができることが多いです。気を付けてください。
にんにくのコンパニオンプランツ
にんにくは香りが強いためあらゆる虫を遠ざけます。レタスやキュウリ、大根といったほとんどの作物と相性がいい野菜です。唯一相性の悪い野菜はマメ科の野菜です。にんにくもマメ科の野菜も根っこから菌を旺盛に出すため、拮抗してしまいます。混植する場合はマメ科以外のものを選びましょう。
まとめ
にんにくは病気の発生にさえ気を付ければ手間はかからないし、単価は高いので積極的に育てたい野菜です。どうすれば病気の発生を抑えられるか。それはにんにくに十分な日光を与え、過湿を防ぐことです。そのため、にんにくを育てる場所の日当たりは事前にチェックしておきましょう。また、にんにくほど病気の怖さを教えてくれる野菜もありません。一度病気になってしまうと植え付けから収穫、貯蔵まで半年以上も要した時間のべてがパーになってしまいます。繰り返しになりますが、にんにくを栽培される方は、病気にはくれぐれもお気を付けください。