【アリシン】にんにくの栄養と効能【滋養強壮】
にんにく(葫・大蒜)とは、中央アジアのキルギスが原産地といわれるスタミナ野菜。日本には奈良時代~平安時代には中国から伝わったといわれ、古事記や万葉集にも登場します。9月ごろから植えつけられ、初夏には収穫できます。旬は5月から9月ごろですが、長期間貯蔵できるため、年中入手可能です。寒い地方で育てると肥大化し、しっかりとした香りがつくため、東北地方特に青森県で育てられています。国産にんにくのシェアの7割は青森県産です。
にんにくの基本情報
原産地 | 中央アジア |
科名 | ネギ科 |
日当たり | 必要 |
土壌 | どこでも可 |
水 | 特に気にせずOK |
利用部分 | 根(茎)、芽 |
効能 | 美容、滋養強壮 |
旬 | 5~9月 |
ガーリックの由来
にんにくは英語でガーリックといわれていますが、その由来は何でしょうか。garlecのgarとは槍のことで、lecはリーキ(西洋ネギ)のことです。にんにくの葉の部分を槍に見立てた、ネギの仲間から由来されています。
にんにくの花言葉
にんにくの花言葉は「息災」「勇気と力」です。にんにくの実には栄養がたっぷり詰まっていることはご存知かと思いますが、茎や花にもつまっています。用途は食用だけではなく、ぬり薬としても使われてきたそうです。
黒ニンニクとは
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黒ニンニクとは白いにんにくを高温・高湿度の環境に1か月ほど置き、熟成されて黒くなったもののことです。熟成されることで糖度があがり、ドライフルーツのようなぷにぷにした食感が特徴です。
黒ニンニクの栄養価
もともとにんにく自体が栄養価が高いのですが、熟成させることでさらに栄養価が増すため、注目されています。中でも疲労回復や、血糖値の上昇を抑えるアルギニンはにんにくの3倍、花粉症などのアレルギーを抑えるポリフェノールは2倍含まれ、抗酸化作用があるSアリルシステインやピログルタミン酸が生成されます。冷蔵庫でも冷凍庫でも保存ができるため、毎日コツコツ食べ続けることで健康体になるといわれています。
黒ニンニクについては以下のサイトをチェック!
にんにくの種類
・ホワイト六片
・ジャンボにんにく
・無臭にんにく
・平戸にんにく
・嘉定
・最上赤にんにく
ホワイト六片
青森県などの寒い地方でよく育てられているにんにくです。青森県は国産にんにくのトップシェアのため、スーパーなどで最も多く出回っているのがこのホワイト六片。十分な低温に当たると玉が大きくなるため、暖地での栽培は不向きです。
ジャンボにんにく(エレファントガーリック)
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大きいものだと手のひらサイズまで成長するジャンボにんにく。厳密にいうとにんにくではなく、西洋ネギ(リーキ)の仲間になります。肥大もよく、いやなにおいがそこまで強くないため人気の品種です。
無臭にんにく
にんにくの味は好きだけど香りが気になるという方に向けられて開発された無臭にんにく。無臭といっても芽にはしっかり香りがあるため、調理時には芽を取り除くことが必要です。
平戸にんにく
暖地向けの定番品種の平戸にんにく。
嘉定
暖地向け品種の嘉定。早く収穫できる早生品種のため、葉にんにくとしても使えます。
最上赤にんにく
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山形県最上地方の店頭品種。粒が大きく、皮は赤いですが中身は白いです。辛みが特に強いですが、加熱をするとほくほくで甘みがたっぷりな味わいになります。
にんにくの栄養・成分・効能
にんにくの栄養・効能と聞いて何をイメージしますか?疲労回復、スタミナ、滋養強壮、殺菌などが思い浮かぶかと思います。ここでは、にんにくの成分やその成分がもたらす効能について紹介します。
・疲労回復
・風邪予防
・抗酸化作用
・がん予防
にんにくの成分
にんにくの主な成分は硫化アリルの一部であるアリシン、スコリナジン、セレンがあります。これらの成分を豊富に含むことで、期待される効能は以下の通りです。健康野菜のトップオブトップであるにんにくですが、一度に多量摂取すると胃がびっくりしてしまうので、ほどほどにしましょう。
にんにくの効能①疲労回復
アリシンは聞いたことがあるかと思います。にんにくといえば健康番組にもよく登場するアリシンです。にんにくの香り成分であるアリシンは体内でビタミンB1と結合します。ビタミンB1は糖をエネルギーに変換する働きがあるため、疲労回復やスタミナアップに効果的です。豚肉にはビタミンB1が豊富に含まれているため、食べ合わせもしやすいですね。
にんにくの効能②風邪予防
にんにくにもネギにも共通するツンとした刺激臭は硫化アリルと呼ばれるものです。このにおい成分は抗酸化作用や強い殺菌効果があるため、お肌のハリにも、風邪の予防にも効果的です。
にんにくの効能③抗酸化作用
にんにくには、スコリナジンという成分も含まれます。スコリナジンは血圧を下げ、肥満予防に効果があります。セレンやスコルジニンといった成分も抗酸化作用があり、老化を防いでくれます。
にんにくの効能④がん予防
アメリカ国立ガン研究所(NCI)デザイナーフーズ計画によると、がん抑制効果のある野菜・果物・香辛料のトップとしてにんにくが挙げられています。辞典にはキャベツ、生姜、大豆、セロリ、ニンジンなどが名を連ねていることから、並み居る健康野菜たちを押さえてトップに君臨しています。にんにくは様々な成分で違ったアプローチにより滋養強壮、抗酸化作用、老化防止に働いているため、がん予防にも効果的だと考えられます。
にんにくのにおい対策
・アリシンを抑える
・消臭作用のある食べ物で打ち消す
にんにくの匂いを消すための対策はアリシンを抑える、消臭成分のあるもので打ち消すといった2つのアプローチ法があります。前者のアリシンを抑える方法から説明します。にんにくの嫌な臭いは硫化アリル、特にアリシンに由来するものです。にんにくを切ったりすりおろしたりして使うとアリシンがより発生します。そのため、香りも栄養価も高まります。においが気になる方はにんにくを丸ごと、がっつり疲れを取りたい方は細かく刻んで使用することがおすすめです。そもそもアリシンとは何か。アリシンとはにんにくの細胞が破壊されることによって、にんにくに含まれるアリナーゼとアリインが化合することによって生まれる化学変化です。この化学変化を遮る方法として、牛乳を飲むことが効果的です。牛乳に含まれるたんぱく質がアリナーゼとアリインの化合を抑え、アリシンを発生させにくく働きます。
後者の消臭成分のあるもので打ち消す方法ですが、消臭作用があるものはポリフェノールやカテキンがあります。代表的なものとして緑茶やコーヒー、リンゴがあります。これらに含まれるポリフェノールやカテキンによって、アリシンと戦い、においを打ち消しあってもらうという方法もあります。
にんにくのにおいはなかなか消えきらないので、にんにくを食べたらデザートにリンゴと飲み物を用意しましょう。
にんにくの選び方と保存方法
栄養たっぷりのにんにくですが、その栄養をより効率的に摂取するにはいいものを選ぶ必要があります。良いにんにくとは何か、正しい保存の仕方は何か、について紹介します。
にんにくの選び方
良いにんにくとは、おいしくて栄養いっぱいのにんにくです。そのため、鮮度管理の良いもの、肥料をしっかりと吸って育ったものを選びましょう。鮮度管理の良いものとは、単純に収穫して時間のたっていない、とれたて新鮮という意味ではなく、貯蔵や流通過程でダメージを受けていないもののことを言います。外皮に張りがあるもの、切り口から傷んでいたり、変色していたりしてないもので見た目が白く、きれいなものを選びましょう。肥料をしっかりと吸って育ったものは形がふっくらとしていて中心の茎からにんにくが離れていないものを選びましょう。
にんにくの保存方法
にんにくの保存方法はとにかく涼しくて風通しの良いところで乾燥させましょう。少しの湿気ですぐに黒ずんでしまいます。1つ黒ずむとそこから菌が広がってしまうのでこまめにチェックすることが大切です。また、乾燥した場所で長期間保存させても芽が出てきてしまうことがあります。芽には毒がないので食べられますが、においが芽の青い部分に集まるので、調理するときはにんにくを半分に割るなどして芽を取り除きましょう。ちなみに、にんにくは本来、冷蔵庫で保存しなくても良いですが、にんにくの外皮をゴキブリが好むので、外皮をパラパラ落とす心配がある場合は虫から物理的に避けるという意味で冷蔵庫での保存も手です。
まとめ
にんにくは抗酸化作用や殺菌作用が期待できる成分が豊富に含まれていますが、一気に摂取すると胃がびっくりしてしまいます。毎日少しずつ食べ続けることで若さと元気の源になる健康野菜です。自炊しない人や営業などで人と接するお仕事をされている方はどうしても臭いが気になるかと思います。そんな方には黒ニンニクを1日1つ食べることでにんにくの栄養を効率的にとることができます。次の記事ではにんにくの栽培方法について紹介していきます。