【じゃがいもの栽培方法】狙った大きさに育てるコツや追熟の方法

じゃがいもは作業工程も少なく、病気による壊滅的な被害もなりにくいため、初心者の方でも作りやすい野菜です。そのため、少しだけじゃがいもの特性や性質を抑えるだけでキレイな、中~大玉のものを育てられます。ポイントとしては追肥の種類・タイミング、追熟の方法の2点だけ押さえましょう。では順番に紹介していきます。

参考:

家庭菜園・農業従事者におすすめの本14選【2021年版】

 

じゃがいもの育て方

じゃがいもは畑だけではなくプランターでも栽培ができます。プランターで育てる場合はそこの深いものを選びましょう。そして土寄せの代わりには増し土、つまり追加で土をいれましょう。その他の作業工程は畑でもプランターでも同じです。

育てやすさNo.1はこれです。

 

場所

日当たりと水はけのよい畑を選びましょう。じゃがいもはナス科の野菜のため、前作にナスやトマトを育てていない場所で育てましょう。どうしてもナス科を連作してしまう場合はセンチュウ対策としてマリーゴールドを畑一面に植えるなどの方法で適度に畑を休ませましょう。

時期

じゃがいもは、春作と秋作の年2作できます。春作の場合、2月下旬~3月に植え付けます。秋作は8月下旬~9月に植え付けます。春作は2月下旬よりも早く植えつけても、早く生長しません。仮に1月に植え付けても暖かくならないと萌芽しないためです。そのため、じゃがいもの種イモが土の中で凍らないようにしっかりと土を被せれば、1月植えも可能です。秋作の場合の注意点としては、植えつけ後のまとまった雨で種イモが腐らないような時期を選びましょう。栽培難易度としては春作の方が簡単です。

種イモの準備

種イモが大きければ大きいほど確実にじゃがいもが収穫できますが、種イモの大きさが60g以上あれば十分なじゃがいもが獲れます。100g以上のものは半分や、3分の1に切りましょう。1つのじゃがいもでも発芽力が旺盛な部分とそうでない部分があります。旺盛な部分は頂部といわれる、じゃがいもを縦に向けたときの頭に当たる部分です。この部分が均等になるように切断しましょう。種イモを切るメリットは、単純計算で種イモの数が増えるということです。反対にデメリットは切断面から腐りやすいということです。切断面から腐るのを防止するために、草木灰やじゃがいもシリカを使用することがあります。教科書的な教えでは頂部から等分しましょう、とか言われますが、切断面の表面積が大きくなってしまうと腐りやすいので頂部かどうか気にするより、切断面の表面積を気にするとじゃがいもが萌芽する確率が上がります。

用土

じゃがいもに適した用土は、根っこの張る面積が十分にある、サラサラの土壌です。じゃがいもは肥料をそこまで必要としない作物です。保肥力よりも、物理的にサラサラで根っこの張りやすい土壌を好みます。とはいえ、粘土質の土壌でも水が溜まって腐るということに注意すれば育てられます。

植え付け・植え方

マルチを使わない場合、平らな状態の畑に深さ10㎝ほどの溝を掘ります。掘った溝に種イモを1個ずつ、株間30㎝~40㎝間隔でおいていきます。溝に種イモを植えていったら種イモが見えなくなるくらい土を被せて完成です。芽が出た後は土寄せ作業になります。

マルチを張る場合、畝幅50㎝の場合は1条(列)で、畝幅100㎝の場合は2条で株間30㎝で植えます。この時の深さは10㎝ほどにします。種イモを植え、土を被せたらマルチを張ります。2月下旬の場合は2週間ほどで萌芽するので芽が出たらすぐにマルチを破って芽を地上に出してください。この作業が遅れると、芽がマルチに焼かれ、傷んでしまいます。マルチを張った場合は土寄せの作業はありません。また、秋作の場合は植えつけ時期が暑い時期のため、マルチ栽培は向いていません。マルチを張るメリットとしては地温を上げることができるため大玉を作りやすい、除草・土寄せが不要の点です。デメリットとしてはマルチを張る、破るといった工程が面倒、という点です。春作でとにかく大玉を作りたいという方はマルチを張ることをおすすめします。

芽かき

 
 
 
 
 
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じゃがいもの芽が5㎝~10㎝ほど伸びたら芽かきをします。芽かきとは、間引きと同じ考え方で、生育の良い数本を残して残りを引き抜く作業をします。芽の本数が少なければ少ないほど、栄養が集中するため、大玉のじゃがいもが育ちます。反対に、小さいじゃがいもを育てたい場合は芽かきの必要はありません。大きさのイメージですが、スーパーに並んでいる一般的な大きさなら2-3本、お祭りの屋台のじゃがバター屋さんで扱うような大玉なら1本とイメージしましょう。

肥料

じゃがいもの肥料は元肥、生育初期の追肥、生育後期の追肥の3回ありますが、それぞれ要求される肥料分は異なります。まず元肥。元肥は完熟の牛糞堆肥なら2週間前までに、中熟堆肥なら1か月前までに入れます。肥料分を補うというよりかは根っこを張る面積を確保するイメージです。そのため、根っこが張るであろう箇所だけ撒けばOKです。つぎに生育初期の追肥。この時期は葉っぱの表面積を大きくして効率的な光合成を促すための窒素肥料が必要です。安いものだと硫安か尿素がおすすめですが、まきすぎに注意してください。最後に生育後期の追肥。3回目の土寄せ時期にはリン・カリも含まれている、じゃがいも専用肥料のようなバランスが良い肥料を与えましょう。これを与えることで、しっかりと大きいじゃがいもができます。また、いずれの追肥も土寄せをする前に行いましょう。土寄せ、芽かき、追肥はセットで行います。

 

土寄せ

マルチを張っている場合は土寄せをする必要はありませんが、芽かきと追肥とセットで土寄せも行います。芽が5~10㎝生長するごとに、合計3回土寄せをしましょう。土寄せの目的は3つあります。じゃがいもを緑化するのを防ぐ、じゃがいも周りの水はけの改善、除草の3点です。じゃがいもは種イモよりも浅いところに子いもを作る特徴があります。そのため、土寄せしなければ子いもがあらわになり、太陽の光を浴びてしまいます。じゃがいもが太陽に当たってしまうと緑化し、ソラニンという有毒物質を生成します。それを防ぐために土寄せをします。また、じゃがいもを植えたところに水がたまると、腐ってしまいます。雨水の逃げ道を作る意味でも土寄せを行います。そして、土の表面を動かすことにより、雑草を刈ることができます。雑草が生えすぎてしまうとじゃがいもの生長の障害になってしまうため、とても大切な作業です。

水やり

水やりは不要です。植えつけ前、植えつけ後の週間天気予報を良くチェックしましょう。じゃがいもを植えつける前に雨が降って土が湿っている場合、湿気で種イモが腐ってしまいます。また、じゃがいもを植えつけた後に雨が続いても種イモが腐ってしまいます。1週間程度は天気と相談しながら計画を立てましょう。

じゃがいもの生育診断

 
 
 
 
 
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じゃがいもの健康な状態の葉っぱは黄緑色です。濃い緑色だと肥料が効きすぎています。生育初期で葉っぱの色が濃い緑色なら追肥を控えましょう。理想は生育が後半になるにつれて葉っぱの色がだんだんと薄くなっていくイメージです。じゃがいも自体の肥料がなくなると、生命の危機を感じいもを大きく残そうと働きます。反対に、肥料が十分ある状態だとどんどん体を大きくしようと茎や葉っぱに栄養を運び、いもの部分は小さいままです。じゃがいもの栽培は株を大きくすることが目的なのではなく、いもの部分を大きくすることが目的だということを忘れないでください。

じゃがいもの病気・害虫(施肥・防除)

じゃがいもの病気は主に、そうか病と疫病、モザイク病があります。害虫はテントウムシダマシ、アブラムシが発生します。それぞれの特徴や対処法について紹介していきます。

そうか病

そうか病とは放線菌によるもので、いもの表面にかさぶたのようなものが見られる病気です。また、土壌感染するため、注意が必要です。土壌pHがアルカリ性になると発生が助長されます。予防策として植えつけ前にpHを適正地にしましょう。

疫病

疫病とはカビによるもので、株全体が茶色~黒っぽく枯れる病気です。雨が続く季節に発生しやすいです。

モザイク病(ウイルス病)

モザイク病とは別名ウイルス病ともいわれ、葉っぱにモザイク状のまだら模様を発症させる病気です。葉っパに模様ができるだけではなく、株の成長が止り、黄化するなどの症状が出ることもあります。モザイク病は治療する方法がないといわれています。そのため、畑にモザイク病株を持ち込まないことが一番の対策です。そのために、種イモを購入するときは市販のじゃがいもではなく、「種イモ専用」のじゃがいもを使用する、媒介の原因となるアブラムシの対策をしっかりとすることで、感染を抑えるといった対策を取りましょう。

テントウムシダマシ(オオニジュウヤホシテントウ)

テントウムシダマシとは、テントウムシ(益虫)にそっくりな害虫です。アブラムシを食べる益虫のテントウムシとは対称的に、じゃがいもの葉っぱを食べてしまいます。放っておくと数日でじゃがいもの地上部分がなくなってしまうため、見つけ次第対処しましょう。薬剤としてはベニカ、モスピラン、オルトランが有効です。

アブラムシ

アブラムシはじゃがいもの葉や茎をかじり、樹液を吸い取るだけではなく、病気を媒介させます。また、アリを誘引させる分泌物を出すので、畑にありが多いな、と感じたら要注意です。繁殖力が旺盛のため、1匹でも見つけたらすぐに対策をしましょう。薬剤としてはベニカ、ベストガード、オルトランが有効です。

じゃがいもの収穫

じゃがいも 収穫

じゃがいもの収穫時期は、春植えの場合は6月中旬~7月ごろ、秋植えの場合は11月~12月です。花が咲いた後、葉っぱの色が薄くなり、枯れはじめてきたころ収穫をしましょう。完全に枯れきった後だと、いもの腐りや表面の傷みが出てしまうので収穫遅れには気を付けましょう。

収穫時の注意点

植えつけ時と同様、収穫日周辺の天気には注意しましょう。収穫前に雨が続き、土壌が湿った状態で収穫すると、収穫したいもの表面に泥がついてしまいます。また、土が湿っていると掘り起こすときにとても力が必要です。土壌が良く乾いているときに収穫しましょう。

追熟

収穫後は風通しの良い冷暗所で保存しましょう。保存するときは太陽の光だけではなく、蛍光灯の光でも緑化するので注意しましょう。また、2週間ほど置いておくと、ジャガイモのデンプンが糖に変化するため、甘みや旨みが増します。掘りたてのいもはみずみずしいのが特徴ですが、追熟したものもまたおいしいです。

コンパニオンプランツ

じゃがいもと相性のいい植え合わせはマリーゴールド、バジル、です。ただいずれも害虫を壊滅させる効果があるわけではないのでその点はご理解を。

マリーゴールド

マリーゴールドはじゃがいもの見た目を悪くする「センチュウ」を遠ざける効果があります。マリーゴールドは緑肥用としても販売されているため、同じ畑でトマトやナスなどのナス科の野菜を連作せてしまう場合は畑を休ませる作物としても有効です。

バジル(ハーブ類全般)

じゃがいもに発生する害虫のテントウムシダマシは、バジルをはじめとする、においの強烈なものを嫌います。また、水分を必要とするバジルと、水分が多いと腐ってしまうじゃがいもを近くに植えることで、水分バランスの調整も期待できます。

まとめ

 
 
 
 
 
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じゃがいもは作業工程も少なく、病気による壊滅的な被害もなりにくいため、初心者の方でも作りやすい野菜です。また、カレーや肉じゃがを代表とするレシピの豊富さ、貯蔵性からプレゼントとしても喜ばれる野菜です。植える→土寄せの最低限の工程だけでも、そこそこ立派なものが作れます。家庭菜園を始めたばかりの方や畑の面積が余っている方にお勧めのじゃがいも。ぜひ一度作ってみてはいかがでしょうか。

参考:ロマネスコってどんな野菜?ロマネスコの食べ方や栽培方法・育て方のポイント