ルッコラセルバチカ

ルッコラセルバチカ(セルヴァチーカ、ワイルドルッコラ)の育て方のポイント

サラダやピザに乗っているルッコラは知っているけど、よく見る葉っぱの丸いルッコラのほかにも、さらにおいしいルッコラこと“ルッコラセルバチコ(以下セルバチカ)”ってご存知でしたか?
セルバチカの味や食べ方などの基本的な情報や栽培してみた感想、セルバチカって儲かるの?という疑問についてお答えします。

参考:ロマネスコってどんな野菜?ロマネスコの種まきから収穫まで、育て方のポイント

はじめに

この記事は「セルバチカって何?」「育て方のコツは?」「どうやって買えばいいの?」という疑問を持って切る方向けに書いています。
この記事を読むことで「セルバチカを食べてみたい」「セルバチカを栽培してみたい」となれば幸いです。

ルッコラセルバチコruchetta-salvatica(セルバチカ、セルヴァチーカ、ワイルドルッコラ)ってどんな野菜?

セルバチカの基本情報

まず呼称ですが、セルバチコ、セルバチカ、セルヴァチーカなどといった様々な呼称が販売店や種苗メーカーで使われていますが最も使われているであろう【セルバチカ】という呼称を使用することにします。いずれの呼称も誤りではありません。
さらに丸い葉っぱでゴマの良い香りのする野菜であるルッコラはルッコラ(ロケット)と言われることが多いです。この記事ではルッコラを省略してそれぞれ【ロケット】【セルバチカ】という表記で進めていきます。
セルバチカとは地中海沿岸原産のサラダ用のハーブです。葉っぱの見た目はかわいらしく、その見た目とは裏腹にあじはとても力強く、スパイシーなゴマの香りがします。
ロケットセルバチカは味の方向性は似たような味ではありますが、育ててみると全くの別物だということがわかります。
ロケットは多くの野菜のように種をまき、収穫したら終了する一年草ですが、セルバチカは一度種をまくと根っこが土の中で生き続ける宿根で多年草なのです。そのため生育のスピードのムラはありますが年中収穫することが可能です。
また、セルバチカの見た目はギザギザの葉っぱが特徴的で、味もロケットよりもパワフルです。そのためロケットセルバチカを同じグラム数食べるとセルバチカのほうが辛味を感じます。

セルバチカの種類

現在種苗メーカーからセルバチカは2種類販売されています。ベーシックな緑色のものと軸が赤いものです。緑色のものは【ルッコラ(セルバティカ)】(中原採取場)、赤軸のものは【ローマロッソ】(トキタ種苗)がメジャーです。特に赤軸の若い葉っぱはとってもかわいいのでお皿映えがすごいです。
ここで注意点なのですが、セルバチカの種はロケットの種に比べてとにかく高価です。値段は5倍ほど違うのでご購入の際は注意が必要です。短期的には高いのですが前述したとおり宿根性なので長期的な視点では安いのかもしれません。

セルバチカの選び方

あまり売られている場面に出会いませんが、道の駅でたまに見かけます。
セルバチカはサラダ用のハーブなので何といっても香りが強いもの、つまりは鮮度が命です。萎れているものは香りだけでなく軸の食感も失われているので避けましょう。
またハーブなどの芳醇な香りを持つ野菜の収穫方法ですが指やはさみと野菜の触れる部分の面積に注意しましょう。
ハーブには香りカプセルと言われるカプセル状の物質を全身にまとっていて、そのカプセルが刺激されることにより香り物質が飛散し、人間の鼻まで届くというメカニズムで人が香りを感じます。そのため収穫時にハーブを必要以上に触ってしまうと香りが減少してしまいます。香りの悪いハーブは鮮度の問題以外にもその農家さんの収穫方法で大きく商品価値を損なっている可能性があります。できれば収穫方法までこだわる生産者の方に出会えるといいですね。

セルバチカの食べ方

何といってもサラダです。葉っぱが薄いので加熱するとすぐにしなってしまいます。
サラダにするにしても葉っぱ1枚1枚がとても主張が強いので気持ち少なめに散らす程度がいいかもしれません。飾りつけの野菜としては見た目、味の評価はかなり高いです。

セルバチカの育て方

セルバチカの播種期

播種時期はいつでもいいです(笑)
苗を作って定植する場合は定植時期が8月、1月のように真夏・真冬にならないようにしましょう。セルバチカ自体は発芽率がいいのでマルチ+穴をあけて直播でも十分です。
しかし、宿根性のため株が大きくなった後に植え替えるのはやや苦手な野菜なので、植え付ける場所は吟味しましょう。
また、旺盛に種を着ける野菜のため一度植えた箇所一帯は翌年、さらに次の年と種をこぼすのでその覚悟で植えつけましょう。

セルバチカの施肥・防除

アオムシ・コナガが発生しますが、虫の被害スピードよりも生育スピードのほうが早いので虫の被害はそれほど気にしなくてもいいかと思います。病気にも強い作物です。

セルバチカの収穫期

根っこから引きちぎる、などということをしない限り生き続けます。植物は一般的に地表と地中部が比例して育つので一度葉っぱを十分に茂らせれば根っこもかなり張っている状態になります。
宿根で根っこを十分に張らせれば将来にわたって収穫できること間違いなしです。

セルバチカのよくある失敗

私の過去の失敗は2つあり、1つ目は移植についてです。根っこを十分に育て、そこの場所では邪魔になったので時期も十分考慮して植え替えたのですが、植え替え先で根っこが活着しませんでした。想像以上にダメージを受けてしまったようです。
2つ目は種こぼしすぎです。上記の失敗により1度植えつけたら移植はしないぞ!と決意したためその場一帯が野生のセルバチカだらけになってしまいました。一般的なアブラナ科野菜というより生育旺盛なハーブという意識で栽培しないと、予想以上に増えすぎてしまいました。

セルバチカって儲かるの? セルバチカの経営的観点

栽培の側面からは非常に楽に育ちます。播種は直播なので作業としては草取りだけです。農薬や防虫ネットも使っていません。
虫の被害は多少はありますが調整作業の負担になるほどの被害ではありません。また、長年根を張ることによりきっと人間が想像できない範囲での根張なのでしょうか、追肥もせずに年々すくすくと成長していっています。
営業の側面からはやや苦労しますがはっきりとした勝ちパターンが存在します。ロケットが1袋50グラムから200グラムほど入っていることがある一方、セルバチカは葉が小さいためせいぜい50グラム入れるのが精いっぱいです。
※たくさん収穫して1袋あたりのグラムを増やせばいいじゃないか。と思う方もいるかもしれません。これはロケット1袋あたりの収穫時間とセルバチカ1袋あたりにかかる時間を同じ場合にした場合の1袋あたりのグラム数にしています。
となるとロケットと同じルッコラとしては割高なルッコラと感じてしまう方が多いのでしょう。サラダの主役級になりうるロケットと、お皿の飾りつけでキャラを発揮するセルバチカとは別物のため、ルッコラはルッコラでもロケットと似た味で全く別物との認識を浸透させるようにしましょう。
専門店、つまりイタリアンシェフは…入れ食い状態です。イタリアンシェフは知らない人はいないくらい有名で希少な野菜なので作れば作っただけ売れる野菜です。
贔屓にしてくださるイタリアンシェフをとりこにできるようにすれば、栽培容易なので勝ちパターンです。
よって当農園の主力商品となっているので会う農家仲間ほぼみんなにおススメしています。
貸農園ではもちろん、プランターでも栽培が簡単なので1鉢ほど育てれば家庭のサラダの見栄えがとてもよくなる野菜の一つです。
ぜひ一度作ってみてはいかがでしょうか。

参考:【栽培かんたん!】カーボロネロの育て方 発芽や株間の抑えるべきポイント